EME: 電力と社会を考えるEME研究会

 エジソンがニューヨーク市内のパール街に発電所を設け、周辺の需要家に電灯用電力を事業として開始したのは1882年で、日本ではそのわずか5年後の1887年(明治20年)には早くも東京電燈と神戸電燈が電気照明用直流電気の供給を開始しています。それから25年後の1912年(大正元年)に始まる大正年間は長距離送電とモーターによる産業電化が社会の仕組みに一大変化をもたらす大革新の時代となりました。そして今、2011年は大正100年にあたります。

 この100年間、電気事業を支えてきたさまざまな分野の技術者は、人類史上燦然と輝くであろう'電気の時代'の社会インフラを担うプロフェッション(天職)としてそれぞれの時代をひたすら走り続けて技術を育て上げ継承してきました。しかし'電気の時代'100年目とも言える2011年3月11日の大地震と津波という大災害とともに起こった福島第一原子力発電所の事故で、社会全体が大きい壁にぶち当たったとすべての人が、さまざまな立場から感じています。とりわけ安全管理には絶大の自信を持ってきた原子力分野の技術者は、厳しい事態と山積する課題に直面して、勇気を持ってその問題解決に当たりながらも、一方でややもすれば自信を失い、あるいは無口になりがちな状況に置かれていると思います。

 

 しかしながら、現代に生きるわれわれ、とりわけ技術プロフェッション(天職)はこれから始まる第2の100年間の社会を創出する最初の旗手として、大切な責務を担っていることに今一度思いをはせるべきではないでしょうか?'世界の中の資源小国日本'の唯一無二の自前の資源たる'人材'、とりわけ技術を担う人たちには、より良い技術を開発するための元気を出してもらい、そして後進を育てる良い環境を準備しようではありませんか。

 

 このような思いを共有する技術プロフェッション(天職)の仲間を中心として、各自の思いを発信しあい、あるいは意見を交わす車座を作りたい、そして共感してもらえる「非技術者」のかたがたにもどんどん入っていただいて、視点をさらに高く、視野をさらに広くして、その輪を大きくしていきたい、と考えています。特に電力供給事業モデルの改変に当たっては、「電気の特性を無視した議論」の蒸し返しを防ぐためには、技術者がしっかり議論を支える必要があります。それにはまずは'隗より始める(to begin with ourselves )べきと考えて、立ち上げたのがこのEME懇談会であります。

  

 特定の組織や思想に組みすることなく、あくまでも個人の立場でメンバー同士が、意見や知見を自由に披露し、交換できる知的なバーチャル懇談の場として育てていきたいと考えております。なお当研究会の名前に採用致しましたEMEは、今申し述べました思いを表象するもので、定訳はまだ決まっておりません。皆様の活動のなかからおのずと定まっていくものと考えております。

2011年11月11日

連絡先

当研究会の連絡先は以下の通りです。

eme.denryoku.shakai@gmail.com

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